「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)
- 作者: 多賀敏行
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/09/01
- メディア: 新書
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最近マスコミでもちょくちょく目や耳にするようになった「企業改革法」「SOX法」も、そんな意図的誤訳の類である。そもそも米国の「企業改革法」の正式名称は「Public Company Accounting Reform and Investor Protection Act of 2002」であり、「上場企業会計改革および投資家保護法」とも訳される。
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/sox.html
この法律のキーワード中のキーワードである「会計」と「投資家保護」をなぜか省略して「企業改革法」などといういかにもおどろおどろしい「短縮形」(まるで、「この春に賞味期限を迎える冷蔵庫の野菜のリゾット」を「春野菜のリゾット」と略すようなものである byしりあがり寿)を考案したのは一体誰なのか。一度原典を調べてみると面白いかもしれない。
ちなみに「SOX法」というのは、米国ではよくある法案提出者の名前を冠した通称であるが、これに「日本版」をくっつけて「日本版SOX法(またはJ-SOX)」という珍妙な呼称も散見される。さらに大げさな印象を与えんとして「来るべき(または「迫り来る」など)日本版SOX法への対応」などと喧伝する輩が多いのにも閉口させられるところではある。
昨日のテレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」の中で、「日本版SOX法」によって企業に電子メールの保存義務が課せられるため、これがIT企業にとって一つのビジネスチャンスになっている、というはなはだしい事実誤認のニュースをやっていて唖然とした。マスコミこそ、真っ先に原典にあたり、正確な報道を心がけてほしい。