たばこの警告文

喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなり、心筋梗塞脳卒中の危険性や肺気腫を悪化させる危険性を高めます。
未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やたばこへの依存をより強めます。
周りの人から勧められても決して吸ってはいけません。
人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます。

「周りの人から勧められても決して吸ってはいけません。」
こんなことまで言って売られている商品は、ほかにない。また、このように警告することで、喫煙の害は喫煙者の自己責任であることを仄めかしている。
 
ほかにも、この警告文には、次のような欺瞞的な表現がある。
 
「あなたにとって」
肺がん等のリスクを「あなた」=喫煙者に限定することで、非喫煙者受動喫煙を強いられることにより被害を受ける事実を隠蔽している。
 
肺気腫を悪化させる危険性を高めます。」
すでに肺気腫を発症している人だけが危険であるように印象付けている。しかし、健康な人が喫煙によって肺気腫COPD)を発症させるリスクが高まることは証明されている。また、発症したら喫煙を止めればよいとの誤解も招く表現だが、肺気腫は発症すれば決して治癒することはなく、その時点で禁煙しても単に病状の進行を遅らせるだけである。
 
「未成年者の喫煙は、」
未成年者の喫煙に言及することで、未成年者が喫煙してもよいかの誤解を与える。そもそも、未成年者の喫煙は法律で禁止されている。未成年者にたばこを販売することは犯罪である。また、成人に対し、成人であればたばこの害が少ないとの楽観を与える。
 
「人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます。」
何故に、「人により程度が異なる」ことをわざわざ断る必要があるのだろうか。強調すべきは、喫煙すれば必ずニコチン依存(=中毒症)が生じることではないのか。
 
以下のように修正してみた。

喫煙は、喫煙者および周囲の非喫煙者を肺がん、心筋梗塞脳卒中肺気腫等に罹患させ、悪化させます。
喫煙すれば、必ずニコチン依存症になります。
未成年者はもちろん、成人も絶対に吸ってはいけません。

これでもまだ手ぬるい。海外のタバコには「タバコは人を殺す(Smoking kills)」と書かれているのだから。