参 - 厚生労働委員会 - 2号 平成22年10月21日

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○梅村聡君 おはようございます。民主党の梅村聡です。
 まずは細川大臣、遅ればせながら、御就任おめでとうございます。また、大臣始め政務三役の皆様方にも、改めてこれからもどうぞよろしくお願いをいたします。
 本日は、まず前半は、たばこ事業法についての話題を取り上げたいと思っております。
 たばこ事業法あるいはたばこ税に関しまして、民主党政策インデックス二〇〇九では、たばこ税については財源確保の目的で規定されている現行のたばこ事業法を廃止して、健康増進目的の法律を新たに創設しますと、こういう記述があるわけでございます。
 このたばこ事業法というのはそもそもどういうものなのかということで、この目的、第一条でありますけれども、ここを読んでみますとこういう文言がございます。後半部分ですが、「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と、こういう文言がございます。この記述からは残念ながら国民の健康という観点は読み取れないわけでありますが、そもそも、我が国は葉たばことたばこ製品の世界的な広がりを制限する法的拘束力のあるFCTC、これを批准しているわけでありますが、この目的とたばこ事業法の目的というのがそもそも相入れるのかと、その関係を財務省としてはどうお考えになるのか、まずはお答えいただきたいと思います。

大臣政務官吉田泉君) 条約とこの事業法の整合性といいますか、そういう問いだと思います。
 おっしゃるようにこのたばこ規制枠組条約、内容は、たばこの包装への健康に関する警告の表示、それからたばこ広告の規制、さらには受動喫煙の防止、未成年者に対するたばこ製品の販売を禁止するための措置等を通じてたばこの健康に対する悪影響を減らそう、人々の健康を改善しようと、こういうところが条約の目的でございます。
 一方、このたばこ事業法、確かに今おっしゃるような目的の書きぶりでございますが、その傍ら、たばこの消費と健康との関係に関する注意表示の義務付け、さらには広告規制、これについても事業法でありながら規定しているところでございます。そういう意味ではたばこと健康との観点にも配慮している法律であると、このように言えると思います。
 したがって、この条約と事業法、両者は矛盾するものではないと考えているわけでございますが、今後、インデックスそれから大綱をベースに、この条約が目指している健康の改善について、財務省とか事業法だけじゃなくて、よその関係省庁、よその法律、たばこに関する法体系全体で見直すと、そういうつもりでやってまいりたいと思います。

○梅村聡君 ありがとうございます。
 法体系という形からいえば、条約、これは法の、法律の上に当たるわけでありますから、そういう意味でいえばこの第一条というところを考えていかないといけない、改正も考慮していかないといけないと、私はそのように考えております。
 では、もう一問、財務省にお伺いをいたします。
 昨年の十二月二十二日に当時の鳩山内閣閣議決定をされました平成二十二年度税制改正大綱、この中にはこういう文章もございます。たばこ税については、これまで安易な財源確保策として用いられてきたという問題があります。これはたばこ税・酒税が財源確保を目的に創設されたことに由来するものですが、前記の基本的な考え方に照らして、このようなあり方は望ましいものではありませんと、こういう閣議決定をされた大綱があります。
 ここには財源確保策としては望ましくないとはっきり明記をされているわけでありますが、ここについても、このたばこ事業法の目的とはやはり相入れないのではないかなと考えておりますが、その関係についても御答弁いただきたいと思います。

大臣政務官吉田泉君) おっしゃるように、インデックスを踏まえて、去年、税制改正大綱、今おっしゃったような記述が載ってきたところでございます。それに従って、この十月一日、たばこの増税が行われたというところであります。
 我々も今後たばこに関する法制の見直しという大きな課題に取り組んでまいりますが、まずは今回のこの増税の影響、大変大きなものが予想されておりますので、その辺をよく見極めた上で、我々が所管する事業法、そしてたばこの法制全体の見直しに取り組んでいきたいと、こう思っております。

○梅村聡君 今たばこ税のお話がありましたけど、私はこの基本的な考え方を整理した先に価格政策があると思っておりますから、ですから、そういう意味でいえば、まずはこの目的ということをはっきりさせるということが大事なのではないかなと考えております。
 それでは、今度は厚生労働省の皆さんにお伺いしますが、ここまでの議論を聞かれてどうお考えになるかということなんですね。
 今二点質問をしました。一つは、法律よりも上位にあるFCTCという条約との関係、ここがやはり目的としては二つ矛盾するのではないかと、それからもう一点は、現政権の税制改正に対する基本思想である税制改正大綱、こことの目的、思想にも矛盾があるということから考えますと、少なくともたばこ事業法を、先ほども吉田政務官からお答えがありましたけど、このままの形で全く手を入れずに残すということは少し考えにくいんじゃないかなと思っております。
 ですから、インデックスに書かれてあることは、実はこれは、たばこ事業法を廃止した上でやはり新たな法律を作るべきではないか、百歩譲って、それがすぐに作業に取りかかれないとしても、たばこ事業法は確かに中に、吉田政務官お答えになられたように必要な規制の部分というのはございます。しかし、百歩譲っても、この第一条の条文は早急に私は改正をすべきだと考えておりますが、厚生労働省の見解をお願いいたします。

副大臣藤村修君) 梅村委員にお答えいたします。
 今御説明いただきましたように、民主党のインデックス二〇〇九ですか、ここでは、財源確保の目的で規定されている現行のたばこ事業法を廃止してと、そのように割にはっきりと書いてあります。また、先ほど御説明のあった税制改正大綱においても、たばこ法制について、現行のたばこ事業法を改廃しという書き方であります。そういう意味では、大きな方向はそのように当然流れが出てくるだろうと思っております。
 厚生労働省の立場でいいますと、たばこの健康に及ぼす影響というのは明らか、悪影響は明らかでありますし、またがんや循環器疾患などの生活習慣病を予防する上でもたばこ対策が重要な柱の一つであります。
 我々は、たばこ事業の在り方、これは所管が財務省ではあります、この法律は。ですが、たばこ事業法を所管する財務省において検討が進められる、それを後押しするための、国民の健康増進の観点からの関係省庁に働きかけを今後してまいりたいと思っております。

○梅村聡君 厚生労働省としては後押しをしていただけるということだと思いますが。
 現時点においては、たばこを管轄、管理する法律というのは、これはたばこ事業法になるわけであります。では、改廃ということでありますけれども、改正なのか廃止なのかということも含めて、じゃ、次、たばこを管理、管轄する法律というのはどういうものであるべきなのかなと。ちょっとそこを考えてみたいと思います。
 今、医療機関とかそれから薬局に行きますとニコチン製剤というものが売られております。これは、例えば張る薬であったりとか口からのものであったりとかいろいろありますが、このニコチン製剤は、これは薬事法で管理、管轄ということをされているわけなんです。
 そうしますと、たばこはこれは吸うわけなんですけれども、このニコチン製剤に比べて頻回に、しかも急速に体内にニコチンが入ってくるわけなんです。ということは、本来、たばこというものを管理、管轄する法律は薬事法と同等若しくはそれ以上に強い規制力を持った法律で管理をしなければ話の整合性としては合わなくなってくると思うんですが、このことについて厚生労働省の見解をお願いしたい
と思います。

○政府参考人(間杉純君) たばこの薬事法上の取扱いについてお話を申し上げたいと思いますけれども、薬事法には御案内のとおり医薬品の定義がございまして、人の病気の診断、治療あるいは予防を目的として使用されるもの、すなわち治療目的のものなどにつきまして医薬品として規制を行っているわけでございます。
 したがいまして、今先生から御指摘がありましたニコチン製剤、パッチとかガムなどでございますけれども、これは言ってみますれば禁煙補助剤ということで禁煙治療の補助を目的としておりまして、薬事法上の医薬品に該当すると、こういう取扱いでございます。
 一方、たばこでございますけれども、これは治療といった目的ではございませんで、むしろ嗜好品という用途に供されるものでございますので、薬事法の医薬品には該当しないというふうなことで薬事法の規制の対象とはしていない
、そういうふうな取扱いとなってございます。

○梅村聡君 従来の見解であれば、私もそのお答えかと思います。ただ私は、今日はたばこがそもそも嗜好品なのかどうかということをちょっと議論したいと思うんですね。
 今まさに医薬食品局長がお答えいただいた答弁になるんですが、今年の八月十八日に、まさにその医薬食品局の方から一枚の各都道府県衛生主管部薬務主管課長殿ということでこの依頼文が出されているんですね。これは何かというと、電子たばこ、ニコチンが含まれる電子たばこについてという、そういう依頼文が出ているんですね。
 ここにどういう記載があるかというと、まず、ニコチンが含まれる電子たばこがあります、使用には御注意くださいと。この文書にはどう書いてあるかというと、この四行目ですけれども、ニコチンは医薬品成分で、長期間、繰り返し使用すると吐き気や嘔吐、けいれん、頭痛、目まいなどの副作用や依存症が現れたりと、こういう文章があるわけなんですね。それから、九行目のところには、ニコチンを含む電子たばこは基本的に薬事法に基づく承認が必要ですと、こう書かれてあるわけですね。あるいは、その文書の中にも、ニコチンを含むカートリッジは薬事法第二条第一項に規定される医薬品に相当しますと、こういう文章があるわけなんですね。
 つまり、この八月十八日の文書には、ニコチンイコール医薬品と。これは治療目的どうこうではなくて、電子たばこというのは普通のたばこに比べるとニコチンは明らかに少ないんですけれども、既にそういう文書が公式に出されているわけですね。これはホームページなんかでも入手すること可能ですけれども。
 電子たばこより多量のニコチンを含んでいる普通のたばこが嗜好品であると。じゃ、どうしてそういうお答えをせざるを得ないのかというと、これはもう私がお答えしますが、たばこ事業法をいじらないという前提だからです。そこをいじらないという前提だったら、そこを擦り抜けて答えようと思ったらどう答えないといけないかというと、嗜好品と答えざるを得ないわけですよね。それは本末転倒だと思います。

 これはとても不幸なことでして、本来からいえば、物の解釈が法律に合わせないといけないというのはこれは逆でありまして、本来からいいますと、先ほどから私が申し上げているように、たばこ事業法に代わる新たな管轄する法律ということが必要なわけなんです。ですから、それを作らないから、嗜好品だという矛盾した答えを言い続けなければいけないと。その矛盾がまさに八月十八日に噴出をしたと。もう裸の王様なわけです。今日やっと裸やと言えたんですけれども、裸の王様なわけなんですね。
 ですから、このたばこ事業法の改正、あるいは改廃なのか、廃止なのか新たな法律を作るということなのか、民主党のインデックス二〇〇九に戻ってくるという、そういう論理が私はあるんだと思っています。
 ですから、これまでたばこ政策に取り組んでこられた小宮山副大臣、ちょっと答弁予定していなかったんですけれども、今のお伝えしたいことは、昨今、たばこ税が高いとか安いとか、幾ら上げるのか云々という技術論に入ってきてしまっているところがそもそも不幸なことだと思っています。今申し上げたように、たばこ規制枠組条約、FCTCとの関係はどうなのか、あるいは今の内閣の税制改正大綱との整合性はどうなのか、あるいは今申し上げたような嗜好品というのをこれまだ言い続けるんですかと。言い続けることは、もう今回の通知でも言い続けることができないということが分かってきましたし、そのためには、薬事法あるいは薬事法と同等の規制力を有する法律を作らなければいけない。
 こういう議論をきちっとした上で価格政策ということを決められれば、これは、今はもう本当に不幸で、上げ過ぎだとか二年連続上げるのかとか、そんな話ばっかりになってきていると。この議論をきちっとした上で、本来の価格政策どうなのか、あるいは広告をどうするか、青少年に対する規制を、喚起をどうしていくのかということを考えなければいけないと思いますが、その骨太の政策作りを私はお願いしたいわけですが、小宮山副大臣の見解をお願いしたいと思います。

副大臣小宮山洋子君) 御質問ありがとうございます。
 梅村委員とは共にいろいろとこの禁煙対策、たばこ対策をやってきたので御指名をいただいたんだと思います。
 厚生労働省としては、役所としての立場というのもあると思いますけれども、せっかく政権交代をいたしまして、私どもは民主党の政策として先ほどからおっしゃったような形でたばこ政策に取り組みたいと思っておりますので、是非そうしたおっしゃることが実現しますように、私もこちらの政務の方の一員としてできる限りの努力はしていきたいと。おっしゃるとおりだと思っております。

○梅村聡君 また財務省にも是非お力添えをいただいて、良い政策作り、法律作りをお願いしたいと思います。
 それでは、吉田政務官、こちらで御退席いただいて結構でございます。