東京都受動喫煙防止条例(仮称)についての意見を提出

東京都受動喫煙防止条例(仮称)についてご意見を募集に以下の意見を提出*1


1.目的
「都民の健康の確保を図ること」について、東京都には近隣県等から多数の通勤者・通学者等が集まるほか、近年は外国人観光客も多く来訪する。これら都民以外の人々を受動喫煙被害から守ることも目的に追加すべきである。


2.条例において定めること
「望まない受動喫煙の防止」について「望まない」という限定を付すべきでない。たとえ同意の上であっても受動喫煙による健康への悪影響は同じであり、全ての受動喫煙の防止を明確にすべきである。


3.定義
パイプたばこや、違法に製造・販売されたたばこ相当品も含め、もれなく本条例の対象に含めるべきである。


4.関係者に求めること
「都民等」には都民のほか、都内に存在(移動・通過する者を含む)する全ての人間が含まれることを明確にすべきである。


5. 多数の人が利用する施設
「多数の人が利用する施設」なる概念はわかりにくく、運用が混乱する懸念がある。次項の「喫煙禁止場所としない」場所を除き屋内禁煙とするべきである。


6. 以下の場所は、喫煙禁止場所としない
旅館・ホテルは、喫煙室と禁煙室を分けている施設が多いが、禁煙室で喫煙する宿泊者が多い。喫煙した宿泊者が部屋に残留させた毒物を除去することは不可能であり、完全禁煙とすべきである。
「演劇等の用に供する舞台の場所」についてなぜ禁煙としないのか理解に苦しむ。演劇における喫煙表現は疑似的な小道具を工夫すれば問題ないと考える。


7. 敷地内禁煙
敷地内には喫煙専用室の設置を認めない旨を明記すべきである。
敷地内禁煙とした場合、例えば学校周辺の路上・公園等屋外で喫煙し近隣住民等への迷惑となる可能性がある。従い、当該敷地の周囲(例えば300メートル四方)の路上喫煙も禁止すべきである。


8. 屋内禁煙
長距離路線バスや観光バスの中には喫煙専用室を設置しているものがあるが、完全禁煙を義務付けるべきである。
官公庁には、国会および国会議員が利用する施設が含まれることを明確にすべきである。


9. 原則屋内禁煙(喫煙専用室設置可)
都内を走行する鉄道については、東海道新幹線JR東海)のみ喫煙席または喫煙専用室が設置されており、その他の新幹線(JR東日本)、在来線・私鉄は完全禁煙化されている。即ち原案では現状と何も変わらないことになる。本条例の目的に照らせば、東海道新幹線についても完全禁煙化すべきである。
喫煙専用室の設置を認める場合は、天井・壁・床を完全に密閉するとともに、扉の開閉・人の出入りに伴い煙が外に漏れないような設備とし、要件を満たさない喫煙室の設置者には罰則を科すべきである。


10. 施設等の利用者に求めること
禁止される行為は喫煙に限定せず、例えばたばこに火をつける、電子たばこのスイッチを入れるなどの準備行為や喫煙後の吸い殻を投棄したり、消火させないまま灰皿に放置して立ち去る行為なども含めるべきである。


11. 施設等の管理者に求めること
灰皿の設置は、喫煙禁止場所内だけでなく、人の出入り口付近など、その周囲(当該施設敷地内全域)も禁止すべきである。


12. 実効性の担保
個人である喫煙者本人と法人を含む施設管理者の罰金額の上限が同額の5万円としている点は不合理である。施設管理者に対する罰金額の上限は少なくとも個人の10倍以上とすべきである。
個人に対する措置としては、罰金の納付に替えて禁煙外来の受診を義務付けることで、喫煙率を引き下げることを通じ受動喫煙防止の実効性を高めることができると考える。


13. 条例の施行時期
人の生命・健康を守るための条例の施行が2019年というのはあまりにも遅すぎる。また、条例の可及的速やかな施行こそが最も有効な周知であり、そのための合理的な期間を設定した上で罰則の適用を開始するのが相当である。


99. その他
近隣県から都内に通勤する者として、本条例案の趣旨に賛同する。東京都が世界に恥じない受動喫煙対策を率先して実行することで、他府県や国の受動喫煙政策も大きく前進することを期待する。
条例案に対して、日本たばこ産業や政治家の一部(自民党たばこ議連等)およびこれらの者と連携する業界団体等が、組織的に反対意見を表明する等して条例の制定を妨害またはその内容を骨抜きする活動を展開することが強く懸念される。東京都におかれては、小池知事のリーダーシップの下、都民および都外からの来訪者の健康確保を最優先に、これらの妨害工作を断固として排除するとともに、その反社会性を都民・国民に広く周知していくべきである。