アルプス交響曲

日本フィルハーモニー交響楽団 第610回定期演奏会

2009年5月30日(土) 午後2時開演 サントリーホール

指揮:沼尻竜典
マーラー交響曲第10番 アダージョ(全集版)
R.シュトラウスアルプス交響曲
http://www.japanphil.or.jp/cgi-bin/concert.cgi?action1=preview_details&seq=392

かれこれ30年ほど昔から現在まで、LPやCDで何百回と聴いてきた大曲のライブをはじめて聴きに行く。「交響曲」としては異例の単一楽章の各場面ごとに22の説明がつく*1。開演前、近くの席の客が「22曲もあるのか」と驚いていたのが妙に可笑しかった。
超レアもののヘッケルフォンも現物を拝めたし、長年の謎であった雷鳴器(サンダーマシーンまたはサンダーシート)の形と奏法も解明された。まさに百聞は一見にしかず。
注目のバンダは、楽譜指定の舞台裏ではなく、パイプオルガンの前にホルン12とトランペット2、舞台向かって左側のバルコニーにトロンボーン2という意外な配置。サントリーホールの高さと幅を活用してアルプスの空間を演出していた。
ハープは、2台、できれば4台の指定に対し2台だったのは、やはり諸般の事情によりできなかったのであろう。
昨年の「ツァラトゥストラ」のときは電子オルガンで代替されていたパイプオルガンは、今回は大活躍。指揮者に背を向けてどのようにオケと合わせているのか、また新たな謎ができた。
アインザッツやピッチなど多少のアンサンブルの乱れはあったものの、ライブならではの迫力ある熱演に大満足。金管が派手に鳴る場面もよいが、むしろ、前半の弦と木管が活躍する滝〜花咲く草原〜山の牧場あたりの情景が美しく、聴くたびに新たな感動がある。特に今回、CDではよく聴き取れない低音楽器群の魅力を再発見できた。
演奏後、指揮者の沼尻竜典氏が各パートを丁寧に紹介していたのが印象に残った。

最後にCDの紹介を。

R.シュトラウス/アルプス交響曲

R.シュトラウス/アルプス交響曲

*1:LPでは、「頂上にて」のところで無理やり終了し、B面の頭で「頂上にて」から再開するという苦肉の策をやっていた