日本フィルハーモニー交響楽団 第616回定期演奏会
2009年12月5日(土)午後2時開演
サントリーホール
指揮:イルジー・ビエロフラーヴェク[日本フィル首席客演指揮者]
ブルックナー/交響曲第5番
http://www.japanphil.or.jp/cgi-bin/concert.cgi?action1=preview_details&seq=487
休憩なし、アンコールなし。ブルックナー5番のみの超硬派?な演奏会。
ブルックナーは、かれこれ四半世紀にわたって溺愛してきた作曲家。なかでもこの5番は各楽章の完成度が高く、聴き応えがある。
とにかく繰り返しの多い曲。第1,2,4楽章がソナタ形式で、第3楽章のスケルツォも同じ主題が何度も繰り返される。第4楽章の冒頭には第1楽章の主題が回想される。いつしかその合わせ鏡のような構造にのめり込んでいき、時間を忘れる。80分もの大曲であり、終楽章の再現部、終結部では重厚長大なハーモニーに酔いしれるが、終わってしまえば「えっもう終わり?」と思うほどあっけない。中断の多いのもブルックナーの特徴。楽章の途中でも容赦なく寸断され、沈黙が支配する。そして、何もない空間に、突如として石造りの神殿が立ち上がる。
この繰り返しと沈黙のくどさが、ブルックナーになじめない人が多い理由かもしれないが、わかる人にはわかる、ハマる人にはハマるのである。
今日の日フィルの演奏は、(いつもながら)序盤、特に第1楽章の冒頭のバランスが悪く、第2楽章の後半あたりから持ち直してきた。その後は文句なしの熱演、名演となった。ビエロフラーヴェク氏は、全体にゆっくりめのテンポで、ゲネラルパウゼ(総休止)も長めに取り、残響をしっかり見届けてから次の音楽を繰り出していたのがよかった。
それだけに序盤の出来栄えが残念といえば残念。音出しと挨拶代わりの小曲を冒頭にもって行き、ブルックナーは第4楽章の前に休憩を入れてもよかったか。ブルックナー初心者?の方は、第4楽章だけをまず聴いてみることをお勧めする。最後にCDの紹介を。
昔FMから録音して何度も聴いた名演。
- アーティスト: クレンペラー(オットー)
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2010/01/20
- メディア: CD
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手持ちのCD。今はiPodの中。
- アーティスト: フランクフルト放送交響楽団,ブルックナー,インバル(エリアフ)
- 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
- 発売日: 1997/10/25
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