「ビジネス法務」2006年2月号

書店に行くたびに増えていく新「会社法」関連の書籍。しかし、ぱらぱらっと立ち読みしたところあっちこっちの公表文書をつなぎ合わせたような粗悪品が多い。まあ、早いもの勝ちってところかもしれないが、もうちょっとマジメにやれ!と言いたい。
そんな中で、「ビジネス法務」2006年2月号の「会社法法務省令案の緊急解説」が比較的わかりやすくてよい。法務省令案の付録も使いやすい(省令が確定したらまた出すのだろうが)。
内部統制については、某弁護士先生によれば、要するに「コーポレートガバナンス」「コンプライアンス」「リスクマネジメント」の体制を整備すればよいとのシンプルな見解。だったら法令の条文にはじめからそう書いとけって。ということはさておき。
このうち、「コーポレートガバナンス」が会社法第362条4項6号の前段、「コンプライアンス」「リスクマネジメント」が同条同項同号の後段(「その他」以降の部分)と考えればわかりやすい。ということは、やはり「その他の」ではなく「その他」で前段と後段を並列的につないだ表現には意味があったということか。何のことかわからない人は、それがフツーだからそのままでよろしい。気になる人はこの日記内を検索のこと。
で、も一つの問題、業務の効率性を確保する体制についての某弁護士先生の見解はどうか。これが読んでびっくりなので、下記に引用する。

「効率的」に行われるための体制の整備について(中略)決定を義務付けることは疑問である。なぜなら、会社法362条4項6号では、「業務の適正」という用語を使用しているところ、法令用語としては「適正」と「効率的」は異なる意味で使用されるのが通常であり、「業務の適正」の中に「効率性」は含まれないと解される(後略)
(「ビジネス法務」2006年2月号、36ページ)

つまり、そもそも用語の使い方がおかしいとのくだりの後、さらに業務の効率性については(投資家が比較・判断できるような)明確な基準がないこと、企業の業態によってまちまちであり法で強制することは国による過剰な管理である旨の自説を延々と展開している。内容的には納得できるものの..ところで、本題の「法務省令案の緊急解説」はドコへ行った?