内部統制報告書の提出先

日本版SOX法」(金融商品取引法)では、有価証券報告書提出会社に対して「内部統制報告書」を内閣総理大臣に提出することを義務付けている。

第二十四条の四の四
第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(第二十三条の三第四項の規定により当該有価証券報告書を提出した会社を含む。次項において同じ。)のうち、第二十四条第一項第一号に掲げる有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるものは、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書(以下「内部統制報告書」という。)を有価証券報告書(同条第八項の規定により同項に規定する有価証券報告書等に代えて外国会社報告書を提出する場合にあつては、当該外国会社報告書)と併せて内閣総理大臣に提出しなければならない

この「内部統制報告書」は、本家?米国SOX法の"internal control report"の日本版ということであるが、米国SOX法では"internal control report"の提出先はどこか、ちょっと気になったので調べてみた。なにごともまず原典をあたってみるべし。ということで有名なSOX法404条から。

3. Section 404 of SOX Act:
Management Assessment Of Internal Controls
(a) The Commission shall prescribe rules requiring each annual report to contain an internal control report, which shall--
(1) state the responsibility of management for establishing and maintaining an adequate internal control structure and procedures for financial reporting; and
(2) contain an assessment, as of the end of the most recent fiscal year of the issuer, of the effectiveness of the internal control structure and procedures of the issuer for financial reporting

ということで詳しい翻訳は省略するが^^);、要するに、SOX法は、内部統制報告書の提出を直接義務付けたものではなく、SECに対し、「「「アニュアルレポートに「内部統制報告書」を記載すること」を義務づける規定」を制定すること」を要求しているにすぎない。SECはSOX法成立の翌年に規則を制定したが、厳密には法律上の義務ではない。しかも、SECの規則も、単に内部統制報告書の開示を義務付けているだけであり、大統領に提出せよ等とは求めていない。要するに、米国では証券取引所の開示規則レベルのものが、日本では法律上の重い義務に「格上げ」されているのである。どういう経緯で、このような文言になったのだろうか。

(追記)なお、内部統制報告書の実務上の提出先については、下記記事を参照。
http://d.hatena.ne.jp/koshian_daifuku/20080106/1199594487