緊急事態宣言を発出 菅首相が会見

司会:ただ今より菅内閣総理大臣の記者会見を行います。初めに菅総理よりご発言がございます。その後、皆さまからご質問いただきます。それでは総理、よろしくお願いいたします。

菅:先ほど、新型コロナウイルス対策本部を開き、緊急事態宣言を決定いたしました。対象は東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県であります。期間は1カ月です。第1に飲食店の20時までの時間短縮。第2にテレワークによる出勤者数7割減。第3に20時以降、不要不急の外出の自粛。第4にスポーツ観戦、コンサートなどの入場制限であります。

 昨年11月以来、専門家のご意見に沿って、Go To トラベル順次停止をし、飲食店の時間短縮を要請いたしました。早期に時間短縮に取り組んでいただいた地域ではその効果が表れ、感染者を抑えることができています。現在の感染の中心は1都3県であります。この2週間で全国平均の感染者数の約半分がこの1都3県に集中をいたしております。年末年始から本日に至るまで、感染者数は極めて高く、本日、東京では2400人を上回るなど厳しい状況であり、大変な危機感を持っております。

 こうした中、なんとしてもこれ以上の感染拡大を食い止め、感染を減少傾向に転じさせる。そのために今回の緊急事態宣言を決断いたしました。そうした決意の下に効果のある対象にしっかりした対策を講じます。1年近く対策に取り組む中で学んできた経験を基に徹底した対策を行います。

 その対象にまず挙げられるのが飲食による感染リスクです。専門家も東京で6割を占める経路不明の感染の原因の多くは飲食が原因であるということの指摘をされています。今回の宣言にあたり、飲食店については20時までの時間短縮を徹底します。お酒の提供は19時までとすることを要請します。本日の政令改正によって、各知事が要請に従わない飲食店を公表することも可能になりました。

 ただ多くの事業者の皆さんはすでに1カ月以上にわたって時間短縮にご協力をいただいております。厳しい経営状況にあると思います。そのため協力に対する支援額を引き上げ、1都3県の20時までの時間短縮に対してはひと月当たり180万円までの協力金を国が支援をいたします。

 飲食店の時間短縮以外にも感染減少に効果的な対策を打ち出します。まずはテレワークです。出勤すればどうしても同僚の方々との食事だとか会話が増えます。そうした機会をできる限り減らし、出勤者数7割減をぜひお願いをいたします。昨年来、定着しつつある新しい働き方をさらに進め、都会でも地方でも同じ働き方ができるようにテレワークを協力に推進したいと思います。

 また、夜間の飲食や会話を含めた感染リスクを防ぐために、20時以降の不要不急の外出自粛をお願いしております。ぜひ徹底していただきたいと思います。さらにスポーツ観戦、コンサートについては今回、入場者数を厳格化し、一律に入場者数を5000人までにするとともに、場内の飲食も控えるように要請いたします。

 学校については、これまで学校から地域に感染が広まった例はほとんどありませんでした。その中で未来を担う子供たちの学びの機会を守りたいと思います。今回は小中学校、高校、大学、幼稚園、保育園について休校、休園はお願いはいたしません。大学については対面の授業、オンラインでの授業、効果的に組み合わせていただくように要請をいたします。

 昨年以来、コロナの感染拡大の中でもわが国の失業率は直近で2.9%です。主要国の中で最も低い水準で推移いたしております。雇用を守ることが政治の責務です。今後も雇用を守り、事業を継続していただくことを優先に取り組みを続けます。パートや非正規労働の方々を含めて、休業した場合の雇用調整助成金は1日最大1万5000円を支給しています。手元資金に困っている方々のための、最大140万円の緊急小口融資についても昨年来、5000億円を利用いただいております。公庫などから最大4000万円の無利子・無担保の融資も行っております。そのための十分な資金を用意いたしました。ぜひ皆さまに使っていただきますように手続きも簡単にしたいと思います。

 今後、緊急事態宣言による対策に続き、特措法の改正、ワクチンの早期接種と段階を踏んで取り組みます。まずは緊急事態宣言により効果的な対策を行い、なんとしても感染拡大を食い止め、減少傾向に転じさせます。専門家が緊急事態宣言のレベルとする、いわゆるステージ4を早急に脱却します。病床の状況、新規感染者数などの指標で判断をします。さらに特措法を改正し、罰則などにより強制力を付与することによってより実効的な対策を可能にしたいと思います。法案の内容に関する議論を急ぎ、早期に国会に提出いたします。

 その上で感染対策の決め手となるワクチンについては、製薬会社の治験データの作業を前倒し、安全性、有効性の審査を行った上でできる限り、2月下旬までには接種開始できるように準備いたします。この間、一貫して大事なのは医療体制です。必要な方には必要な医療を提供いたします。病床が逼迫する1都3県において、コロナ対応の病床を大幅に増やすことができるようします。このため、民間病院をはじめ、新たに対応病床を増やしていただいた場合には、1床当たり450万円の補助を従来の支援に上乗せして実施をします。これにより重症者の病床があれば、1床あたり約2000万円の強力な支援が行われます。また、各知事の要請があれば自衛隊の医療チームが、いつでも投入することができるように万全の態勢を整えております。

 最後に国民の皆さんへのお願いがあります。1年近くにわたるコロナとの闘いにおいて、痛みを伴う自粛要請、こうしたことに協力をいただいております国民の皆さんに心から感謝申し上げます。今回の世界規模の感染の波や、私たちが想像していたものを超え、厳しいものになっています。しかし私はこの状況は必ず克服できると思っています。そのためにはもう一度皆さんに制約のある生活をお願いせざるを得ません。

私たちはこの1年間の経験で多くのことを学んできました。大事なのは、会話をするときは必ずマスクをお願いする。さらに外食を控えて、テレワーク7割、夜8時以降の不要不急の外出の自粛、特にこの3点を徹底していただければ必ず感染を抑えることができると考えております。

 さらに若い方々にお伝えしたいことがあります。最近の1都3県における感染者の半分以上が30代以下の若者の皆さんです。こうした皆さんは、感染されても多くの場合、重い症状が出ることがありません。しかし、若い方々への感染がさらなる感染拡大につながっているという現実があります。どうか皆さんのご両親や祖父母、ご家庭、友人など、世代を超えて大切な命を守るために、ご自身のことと捉えていただいて行動をお願いしたい、このように思います。

 1カ月後には必ず事態を改善させる。そのためにも私自身、内閣総理大臣として感染拡大防止をするために全力を尽くし、ありとあらゆる方策を講じてまいります。これまで国民の皆さんのご協力に感謝を申し上げるとともに、いま一度ご協力を賜りますことをお願いして、私からのあいさつとさせていただきます