菅首相記者会見全文(2020年12月25日)

司会:それではただ今より菅内閣総理大臣の記者会見を行います。初めに総理からご発言がございます。その後、皆さまからご質問いただきます。それでは総理、よろしくお願いいたします。

菅:本日は新型ウイルスについて、国民の皆さまに現状のご説明と、年末年始における、私からあらためてお願いがありまして、会見を行わせていただきます。ウイルスとの戦いが始まって1年がたとうとしております。初めての冬を迎える中で、首都圏を中心に感染が拡大しており、感染者数は1日3000人を超える高い水準が続いており、皆さま方のご不安も高まっているものと思います。まずは最前線で戦っておられます医療従事者の皆さま方、介護施設の皆さま方、そして全ての皆さま方に敬意と感謝を申し上げます。

 この間、私たちは一貫して、尾身先生をはじめ、専門家の提言をいただきながら国民の皆さんの命と暮らしを守るべく、対策に取り組んできました。政府として雇用調整助成金などにより雇用を守り、事業を継続する取り組みを行い、現在に至るまで失業率は2.9%と、諸外国に比べて低い水準であります。飲食店の時間短縮、Go Toいったん停止、テレワークなど国民の皆さまには大変なご協力をいただき、深く感謝を申し上げます。

 この中で先日の私の会食の件は、本来、大人数での会食を避けることを要請する立場にありながら、深く反省をいたしております。あらためておわびを申し上げます。皆さんご承知のとおり、今月東京都内の人出はほとんど減っておりません。このままではさらなる感染拡大が避けられない状況であります。国民の皆さまにはあすから年末年始はぜひご協力をお願いしたいと思います。静かな年末年始をお過ごしいただきたい。家族や友人で集まる機会も多いと思いますが、できるかぎり会合は控えていただき、なんとしてもこの年末年始で感染拡大を食い止めることができるように、ご協力をお願いをいたします。

年末年始は医療機関の体制も縮小せざるを得ない時期です。これ以上、医療機関に負担を増やさないためにもお1人お1人のご協力が必要であります。政府としてもコロナ対応で派遣される医師、看護師への支援額を倍増し、医師には1時間1万5000円、看護師は1時間5500円補助をいたします。さらに本日、2700億円の追加予算でコロナ患者を受け入れられている病院を緊急支援することを決定しました。現場で頑張っていらっしゃる方々を応援するために、全国で2万8000床を対象に1床当たり最大1500万円の補助を緊急に配布いたします。これを活用してコロナに対応する病床を増やし、現場の方々の処遇改善をし、必要な方々が必要な医療を受けられるように責任を持って医療体制を整備いたします。

 この間、専門家から一貫して指摘をいただいておりますのが、飲食の場の感染リスクです。東京の感染者の6割程度を占める見えない感染の多くが飲食によるものとされております。感染対策として最も効果的といわれるのが飲食店の時間短縮であります。ご協力をいただいている飲食店の皆さまには大変ご苦労をお掛けしております。申し訳なく思っております。今後さらに各地域でご協力いただいて、コロナ前の日常に1日も早く戻ることができるように、支援額を最大1カ月60万円から倍の120万円にしております。そのほか、事業者の皆さまには最大4000万円の無利子、無担保での貸し付けをはじめとして、さまざまな支援メニューを用意しております。何とぞご協力をいただきますようにお願いをいたします。

 さらに飲食店の時間短縮については、給付金と罰則をセットで、より実効的な措置が取れるように特措法の改正を検討します。ただし、罰則については専門家の皆さんによる分科会において、規制強化すべきという意見と、私権制限に慎重な意見の両立があります。今後、分科会において、早急に検討を進めてまいります。

 水際対策も強化します。イギリスにおけるウイルスの変種の問題については昨日から英国に滞在歴のある外国人の入国拒否などの措置を強化しました。さらに南アフリカに滞在歴のある外国人についても英国と同様に入国拒否の対象にすることを決定いたしました。今後も国民の皆さんの命と暮らしを守り抜くことを最優先に各国の状況を見ながら迅速に対策を強化していきます。

 その上で最終的に感染対策の決め手になるのがワクチンです。米国、イギリスではすでに接種が始まっております。わが国も治験が始まっており、2月にはデータがまとまる予定です。その後、安全性、有効性、最優先に審査を行った上で承認をされたワクチンを必要な方にできるだけ早く接種を開始できるように、関係省庁一体となって作業を進めております。

 Go Toについては7月にスタートしましたが、延べ7000万人の方々にご利用いただき、感染が判明したのは340人です。地方経済の下支えに大きく貢献できたと思っております。先月専門家の先生方の提言を受けて、北海道、大阪、東京でいったん停止する措置を取りました。さらに私自身、悩みに悩み抜いた上で、その判断でありました。年末年始に集中的な対策を取るため、全国でいったん停止することにいたしました。この間、Go Toについては地方の皆さんからご支援のお言葉いただきました。また一方で感染対策とGo Toを同時に進めることは分かりにくい、不安である、お叱りもいただきました。私自身、新型コロナウイルス対策について、国民の皆さんへのご説明が十分ではなかった面がありました。今後、国民の皆さんに丁寧に、コミュニケーションを取ることに努めていきたいと思っています。

 就任して100日がたちました。総裁選でお約束したように、まずは新型コロナウイルス対策に全力を尽くし、さらにわが国で長い間先送りされてきた課題、グリーン社会、デジタル化、少子化対策について答えを出し、皆さんにわが国の将来の絵姿を具体的に示すべく、全力で取り組んできました。不妊治療については来月から助成の金額を拡大し、所得制限をなくし、22年度から保険適用をいたします。携帯電話の料金については大手が相次いで現在の半額程度となる20ギガ2980円とするプランを発表いたします。

 明るい将来に踏み出すために、まず必要なことは新型コロナウイルス、これ以上の感染拡大を食い止めることであります。4月の緊急事態宣言、夏の感染拡大について、度重なるご協力、お願いとなりますが、皆さんと皆さんのご家族、そして大切な方の命と暮らしを守るために、まずはワクチン接種が始まるまでの間、医療体制をなんとか持ちこたえられるように静かな年末年始を、重ねてよろしくお願いをいたします。家族や大切な方と少人数で静かにお過ごしをいただきたいと思います。1日も早く感染を収束させ、感染が始まる前と同様の日常を取り戻し、希望に満ちた社会を実現をするために、ぜひお力をお貸しいただきますようによろしくお願いをいたします。私からは以上であります。

菅首相が記者会見12月25日(全文1)静かな年末年始をお過ごしいただきたい(THE PAGE) - Yahoo!ニュース