注文の多い電子政府

西武鉄道の虚偽記載事件で注目された有価証券報告書。最近、ビジネス街の書店でも目立つ場所に置かれるようになった。おそらく自分の勤め先や関係先の有報を購入して読んでみたいという人が増えたことを反映しているのではないだろうか。
それはそれで結構なことなのであるが、書店には申し訳ないがIT時代の今、インターネットで全ての上場企業の有報が、タダで読めるのである。そのサイトの名は、本家本元の金融庁が運営する「EDINET」である。ところが..
EDINETのメインページから、「有価証券報告書等の閲覧」をクリックすると、「このサイトを正常にご覧いただくためにはJavaのバージョンアップが必要です。」等のエラーメッセージが出て先に進めない。画面の案内に従って、推奨環境を確認し(OS、ブラウザ、JAVAの各バージョンが事細かに指定されていて、さらに設定条件がめちゃめちゃ細かい!)、パソコンの設定をやりなおして再起動してもやはりエラーが再発して先へ進めないのである。ソースを開いてみると、Javascriptがゴリゴリに組まれていてバージョンチェックを通らないと先へ行けないようになっていた。HTMLを見せるだけのサイトで、ここまで厳格にチェックすることもなかろうに。とあきれてしまう。しかも、セキュリティを強化するのではなく、むしろ問題の多いIEをベースにした環境を強いる点にも疑問を感じる。
いろいろ調べているうちに、大阪市立大学坂上研究室の「インターネット講座」のサイトで「EDINETに見る電子開示システムの方向性」なるページを発見。EDINETの技術的な問題点を詳しく解説したあとに、こう書いてある。

Linux マシンのように Internet Explorer が利用できないプラットフォームのユーザーは、実質的に EDINET を利用できないことになります。公衆の縦覧に重きを置いているはずなのに、これはおかしなことだと思います。
(中略)

EDINETは特定のプラットフォームと特定のバージョンのブラウザーを前提として開発されたことにより、非常に綺麗なレイアウトで閲覧できるようになったことと引き替えに、利用者側にセキュリティ上の問題を抱えるような状況で利用させる環境を強いる結果となってしまいました。この点は、なるべく早い時期に解決して欲しいと思います。

正直言いまして、「均等割付」がきれいに表示されたり印刷されることなんか、どうでもよい事ではないでしょうか。

まったくその通りであり、このような実務的かつ実証的な研究が行われていることに感心するばかりである。金融庁の担当者は、こういう意見に真摯に耳を傾けるべきではないだろうか。
とはいえ、金融庁の心変わりを待っているわけにもいかないので、何とか見られるようにならないか探していると、個人のブログでEDINETの表示画面への直リンクを発見。これのおかげで問題なく参照することができた。備忘録として、再掲しておく。
http://info.edinet.go.jp/InfoDisclosure/alphabet/index.jsp
※2007.5.30追記:現在上記をクリックするとEDINETの表紙に飛ばされるようである。
ただし、WindowsIEでなければ見られないので要注意。ちなみに私はWindows98SE+IE6.0で参照できた。
以上の情報は、2005.4.3時点で確認されたもの。これまでもそうであったが、あまりにも頻繁な推奨(必須)環境の変更により、近い将来にも影響を受ける可能性があるのが何ともイタいシステムではある。