- 作者: 水木しげる
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/05/09
- メディア: 文庫
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2月22日は「猫の日」。先日、猫のいる中華料理店でとある会合の席上「水木しげるによれば、猫は『岡ふぐ』といって食べるとうまいらしい。」という話をしたらドン引きされてしまった。
水木しげるの猫作品を集めた「水木サンの猫」に収録の「猫又」はその出典。さらに原典をさがせば、佐藤垢石の「岡ふぐ談」があり、こちらは著作権切れのため青空文庫でタダで読める。
昔から猫のことを『おしやます』という。おしやますとはどんなところから名が出たのか知らぬが、おしやますの吸物といえば、珍饌中の珍饌に数えられてある。また一名『岡ふぐ』ともいう。
二、三日後、老友は小風呂敷の包みを持ってやってきた。包みを解くと、竹の皮に家鶏の抱き肉のような白い半透明の肉が、一枚一枚ならべてある。
君、これは鶏の肉じゃないか、おしやますじゃあるまい。これでは、何の変哲もないのうと期待に反した文句をいうと、いやこれは、正真の猫肉じゃ。猫肉は、犬の肉のように闇赤色に濁って、下品ではない。恰も、若鶏の如くやわらかく白く澄み、風味たとうべからずであるから、食べてみてから文句をいい給え。
(佐藤垢石「岡ふぐ談」*1より)
その中華料理店でいつもの猫が見当たらないので、店主に尋ねたところ「2階に行っている」とのことであった。厨房が何階にあるかは知らない。