上海式・究極の内部統制システム

せっかく上海に行ってきたので、土産話をひとつ。あまりに暑いのでホテル近くのデパート(日本でいうところのショッピングセンターに近いイメージの店舗)で半袖のシャツを買うことに。
売り場で商品を選び、店員にお金を払おうとすると、そこの店員は伝票に記入するのみで、伝票を持ってレジに行って支払って来い。商品はその後に手渡す旨、指示される。
そのフロアにたぶん1箇所しかないレジへ歩いて行くと長蛇の列、ではなく黒山の人だかり。誰も整列しようとする者はおらず早い者勝ち状態。とにかく伝票を持った手をレジのほうに差し出していないとどんどん後からくる客に抜かれる。レジ担当の後ろには、鋭い目つきの管理職風が見張っている。
なんとか支払いを済ませ、レシートと伝票を持って売り場に戻ると、そこでようやく伝票と引き換えに商品を渡される。
後で現地人から聞いた話では、この手の店ではクレジットカードは使わないほうが無難(取られすぎてもまず返ってこない)、スーパーではレジでニセ札を入念にチェックされる、逆に、金持ち・外国人向けの高級デパートでは日本とほぼ同様とのことであった(但し高級デパートでもレジには監視役と思しき職員が立っていたが)。
以上をまとめると、
1.売り場担当には現金は扱わせない。(モノとカネの分離)
2.会計担当にも見張りがつく。(出納の監視)
3.カネを払った客にのみ商品を引き渡す。(万引きの防止)
ということで、要するに、店員も客も誰も信用しない究極の内部統制システムが徹底されている。このシステムが成立するためには、
1.顧客満足はどうでもよい。(売り場とレジの間を往復させる)
2.管理と監視のための人員は惜しまない。(人件費が安い)
3.商品の品質はそれなりでも価格がけっこう高い。(需要が供給よりも強い、企業間の競争が少ない)
という条件が必要と思われる。日本では、このような商売ではとてもやっていけないだろう。以上。