「待っている男」

待っている男 (角川文庫)

待っている男 (角川文庫)

短編小説の名手、阿刀田高のミステリアスでエロティックな9編の作品集。*1
難しい表現は一切使わず、的確に情景や心理を描写していき*2、一気にどんでん返しの結末に持っていく。

男は十九分の遅刻か。
三島由紀夫が書いていますよね。
二十分以上待たされている女がいて、それでもなおその女が立ち去らないときは、彼女は待っている男とすでに肉体関係がある・・・・・・。逆に二十分以上待ち続けている男は、これからやって来る女とまだ肉体関係がない、って・・・・・・。
(「待っている男」より)

*1:例によってブックオフで105円で購入したので、1編あたり11.666円..

*2:(作品の書かれた時代を考えるとやむを得ない面もあるが、)タバコが小道具的に多用されているのは、いただけないが..