重大な不備とは

もう改訂版の草案が公開されている最中、PCAOB監査基準第2号の日本語訳がようやく出た。これで難解な英文に苦労しなくてすむと思いきや..

重大な不備とは、会社の年次又は期中財務諸表の軽微とは言えない虚偽の表示が、防止又は発見されない可能性がほとんどないとは言えない場合のように、一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠して信頼性をもって外部財務データを開始、承認、記録、処理又は報告する会社の能力に悪影響を与える統制上の不備又は統制上の不備の組み合わせをいう。
http://db.jicpa.or.jp/visitor/search_detail.php?id=1001

例によってコピペ不可のPDFのため、ツールでテキストを抽出し..ってな話はさておき。この訳文、一つの文章に「ない」が4回も出てくる。否定の否定否定の否定は肯定? 加えて「軽微」「虚偽」「防止」「可能性」「ほとんど」「悪影響」「不備」などの程度や否定を意味する品詞が多数出てくる。一読して日本語として意味が通じるだろうか。(「軽微とは言えない虚偽の表示が、防止又は発見されない可能性がほとんどないとは言えない場合」の否定を肯定に変えてみると、「重大と言える虚偽の表示が発生し又は発見される可能性が少しはあると言える場合」となる。結局「重大な不備」を定義するのに「重大」の語を使わないために「軽微とはいえない」云々の反対語+否定語でゴマカシているのにすぎない。)

本家の原文(こちらはコピペ可)は、

A significant deficiency is a control deficiency, or combination of control deficiencies, that adversely affects the company's ability to initiate, authorize, record, process, or report external financial data reliably in accordance with generally accepted accounting principles such that there is more than a remote likelihood that a misstatement of the company's annual or interim financial statements that is more than inconsequential will not be prevented or detected.
http://www.pcaobus.org/Standards/Standards_and_Related_Rules/Auditing_Standard_No.2.aspx

結局のところ、虚偽表示が防止・発見されない可能性が何%以上になると「重大な不備」になるのだろうか?その軽微とは言えない疑問が解決する日がくる可能性はほとんどないとはいえないような気がしないような気がする..