昨今流行りの感動の押し売りとは対極の作品なるも、LOHAS(ロハス)やスローフードといった現代の気分、流行を取り入れている。
なんといっても主演の小林聡美が好演。共演の片桐はいり、もたいまさこもいい味を出していた。はいりは南海キャンディーズのしずちゃん(山崎静代)、もたいは室井滋あたりにやらせる手もあったか。しかし、主演だけは小林聡美以外の配役は考えられない。それぐらいハマっていたように思う。
見ず知らずの土地で店を開き、次第に地元の人々に受け入れられるという設定・展開は、「ショコラ」や「魔女の宅急便」などを想起させ、既視感が漂う。大半が食堂内部のシーンでやや退屈。日本かぶれの青年が何度もしつこく登場するのがうっとうしい。せっかくフィンランドまで行ったのだから、もう少し現地の風物などを見せてほしかったところ。
しかし、小林聡美の演技がそれらの弱点を補って余りある。彼女の台詞、表情、立ち居振舞いを観るだけでも、料金分の価値はある。
その証拠に、エンディングロールで席を立つ客がほとんどいなかった。あそこで井上陽水を使うのは「反則」かもしれないが。特に「クレイジーラブ」の2番の歌詞がいい。特に「特に意味がないから〜」と落とすあたり。